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2006年07月03日

●なぜ企業の評価体制の準備が遅れたか2

従来、ストック・オプションは費用計上の必要がなかったため、その価値の評価が必要な企業は、米国で株式公開していることにより、米国会計基準が適用される企業を除くとほとんど存在していません。(公正な評価額評価に対する意識の希薄さ)

また、ストック・オプションは無論のこと、有償で発行されることもある新株予約権についても、根拠のない価格(公正な評価額)で発行されているケースが後を立たない現状です。
例えば、ある種の新株予約権付社債(本邦ではライブドアが発行して有名になったMSCBという名称で呼ばれるものもこれにあたる)は、社債と新株予約権のと切り離しは不可であるとの条項や早期償還条項が付加されているとの理由から、新株予約権の価値をほぼゼロと評価して、発行されているのが現状です。
また新株予約権が導入される前の商法下で、過去に未公開企業が発行したワラント債の多くは、社債額面の1%から3%の価格で発行されてきたことから、有償の新株予約権の発行価格を権利行使価格の1%から3%の価格で発行している例も散見されます。この価格の算定根拠は皆無であり、発行者と取得者(発行企業のオーナーやその一族のケースが多い)の利便性によって決められています。当然のことながら、取得者側は低価格での発行を要望し、発行者側も新株予約権の円滑な流通のためにも、取得者側の要望を満たす形での低価格発行を実施してきた経緯があります。