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2006年07月24日

●オプション評価モデルの考え方


金融工学の世界ではこの公正な評価額を論理的に算出する技法が様々生み出されました。ひとつにはブラック・ショールズモデルに代表される解析的手法また二項モデル、モンテカルロ・シミュレーションに代表される、数値的近似手法に大別されます。

解析的手法は、オプションの価格を計算式により導き出すのに対し、数値的近似手法は、擬似的な株価の変動モデルを設定し、その株価の変動モデルから導かれたオプション価格を近似して、あるべき数値を推定していく方法です。オプション取引自体はすでに古代ギリシャ時代から行われていたといわれていますが、これらのモデルが広く市場で受け入れられだしてからの歴史はまだ20年程度です。
その意味ではオプション評価モデルがないころでも、市場参加者は何らかの方法でオプションの価格を決定していたのでしょう。金融商品の価値は第一義的には市場で取引された価格を意味します。 もしその価格が市場のプロフェッショナルなディーラーたちにより真剣に決められているとしたら(巨額の取引を行うディーラーにとって、ミスプライスは致命傷となります。)、評価モデルなど存在しなくても取引には支障がないのかもしれません。但し、より正確なプライシングと取引の円滑化のためには万人が納得する理論的な評価モデルが不可欠となります。