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2007年03月01日

●従業員が期限前行使をするタイミング

 ストックオプションは譲渡制限が課されていることが多く、したがって、従業員は権利行使することによりストックオプションの価値を実現させます。しかし、全ての従業員が同時に権利行使することはほとんどなく、権利行使するタイミングは従業員によって異なることが通常です。それでは、従業員はどのようなタイミングで権利行使することが多いのでしょうか。

 権利行使するタイミングは、従業員の地位や株価の水準によって大きく影響を受けることが一般的です。たとえば、地位の高い従業員は、地位の低い従業員より遅れて権利行使する傾向があると知られています。また、株価のボラティリティが高い企業であれば、権利行使するタイミングが早まることも知られています。そして当然ながら、株価が行使価格を上回れば上回るほど、権利行使するタイミングも早まります。
 なお、当社のアンケートによれば、従業員がストックオプションを行使する特に多いタイミングは、下図に示すものです。

Q.本源的価値が十分あるばあい、ストックオプションを次のうちいつ行使したいと思いますか?

<上場企業>
�権利確定日の翌日
�決算発表の翌日
�行使期間満了の前日
�退職・転職時

 このうち最も多かった回答は、驚くことに�でした。つまり、本源的価値が十分あるばあいには、従業員はオプションの時間的価値をいとも簡単に放棄してしまう傾向にあることになります。このことは金融工学の理論からすれば、予想残存期間が比較的短くなることを意味しており、費用額を見積る上で少なからず考慮しなければなりません。
 なお、このアンケートとは別に未上場企業の従業員に調査を実施したところ、ストックオプションを期限前に行使する理由は当然ながら主幹事証券からの指導が最多でした。次点では、利益が十分に出てきたので配当を得るためとの回答が多数を占めています。