« 誰がSO評価をするのか? | メイン | 新株予約権による資金調達の急増 »

2006年08月04日

●非上場会社とSO会計基準

非上場会社がストックオプション会計基準に基づきストックオプションを発行する場合の会計処理とその税務処理について。

下記にて説明します。

非上場会社がストックオプションを発行する場合、ストックオプション等に関する会計基準13によれば、『未公開企業については、ストックオプションの公正な評価単価に代え、ストックオプションの単位当たりの本源的価値の見積りに基づいて会計処理を行うことができる。この場合、本会計基準の他の項で「公正な評価単価」を、「単位当たりの本源的価値」と読み替えてこれを適用する。』とあり、さらに『「単位当たりの本源的価値」とは、算定時点においてストックオプションが権利行使されると仮定した場合の単位当たりの価値であり、当該時点におけるストックオプションの原資産である自社株式の評価額と行使価格との差額をいう。』とあります。

すなわち、非上場会社において、ストックオプションの公正な評価単価と算定することは困難であることから、評価時点の「本源的価値」、すなわち「評価時点の株式時価−権利行使価格」をもってその評価額としてよい旨が規定されています。

ストックオプション発行においては、通常、「権利行使価額≧株式時価」として設定するため、その場合発行時の本源的価値はゼロであり、費用計上額は生じません。したがって、費用計上額に関する税務上の問題もこの場合には生じません。
ただし、新株予約権を発行する場合に、実務上として、税制適格要件を満たしていないオーナー社長に対しては、権利行使時課税の問題から有償発行の新株予約権を発行し、ほぼ同時期にその他の役員、従業員には税制適格ストックオプションを発行するということが行われることがあるとします。
この場合、その他の役員、従業員に割当てた税制適格ストックオプションについては、本源的価値による評価でよいのですが、有償発行の新株予約権の払込み価額を公正価値により算定している関係上、かような場合には、公正な評価単価が存在するので、税制適格ストックオプションにおいても同様の公正な評価単価を付して費用計上が必要となるという見解も考えられましょう。