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2006年07月04日

●S/O費用計上の法人税等への影響

上場会社がストックオプションを発行して、費用計上した場合、発行法人側のその損金性は下記の通りにまとめられます。

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これらの損益に及ぼす影響を下記設例により3つのケースに分けてみます(単位:百万円)。

(ケース1)
ストックオプションの発行がないため、株式報酬費用はゼロのケース。

税務加算はなく、法人税等が40%(40百万円)で当期純利益は60百万円。

(ケース2)
税制非適格のストックオプションを発行し、その評価額が(ケース1)の税引前当期純利益と同額の100百万円の場合。

付与時の費用は、税務上加算・留保で、下記のとおり繰延税金資産が100×40%=40計上され、当期純利益は60になります。
(借)繰延税金資産40 (貸)法人税等調整額40

(ケース3)
税制適格のストックオプションを発行し、その評価額が100百万円の場合。

付与時の費用は、税務上加算・社外流出で税効果会計の適用がなく、当期純利益は△40になります。


以上の結果、ストックオプションの費用計上をした場合の当期純利益への影響は、(ケース1)と比較して、(ケース2)は△60百万円の減少、(ケース3)は△100百万円と費用計上額と同額の当期純利益を減少させます。

このように、法人税等の影響を考えると、その利益への影響は甚大と言えましょう。

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