2006年12月01日

財務諸表等規則によるディスクロージャー

ストック・オプション会計基準は、ストック・オプションの会計処理及び開示を求める会計基準です。これに対して、財務諸表等規則では、ストック・オプションについて法律上要求される注記事項が詳細に定められています。

ストック・オプション会計基準は、民間団体である企業会計基準委員会が作成した基準であり、日本国における法令とは異なります。したがって、会計基準自体に開示強制力はありません。これに対し、財務諸表等規則は内閣府による府令であり、日本国における法令です。このため、企業は財務諸表等規則に基づいて財務書類を作成しなければなりません。

この財務諸表等規則では、以下のようにストック・オプションに関する注記事項が詳細に定められています。

第八条の十四  ストック・オプション若しくは自社株式オプションを付与又は自社の株式を付付している場合には、次の各号に掲げる事項を注記しなければならない。ただし、別段の定めがある場合はこの限りでない。

一  役務の提供を受けた場合には、当該事業年度における費用計上額及び科目名
二  財貨を取得した場合には、その取引における当初の資産計上額又は費用計上額及び科目名
三  権利不行使による失効が生じた場合には、利益として計上した金額
2  前項に掲げる事項は、当該会社が連結財務諸表を作成している場合には、記載することを要しない。

第八条の十五  前条の規定のほか、ストック・オプションの内容、規模及びその変動状況として次の各号に掲げる事項を注記しなければならない。
一  付与対象者の役員、従業員などの区分ごとの人数
二  株式の種類別のストック・オプションの数
イ 付与数
ロ 当事業年度における権利不確定による失効数
ハ 当事業年度における権利確定数
ニ 前事業年度末及び当事業年度末における権利未確定残数
ホ 当事業年度における権利行使数
ヘ 当事業年度における権利不行使による失効数
ト 前事業年度末及び当事業年度末における権利確定後の未行使残数
三  付与日
四  権利確定条件(権利確定条件が付されていない場合にはその旨)
五  対象勤務期間(対象勤務期間の定めがない場合にはその旨)
六  権利行使期間
七  権利行使価格
八  付与日における公正な評価単価
九  当事業年度において権利行使されたストック・オプションの権利行使時の株価の平均値
2  前項の注記は、次のいずれかの方法で記載しなければならない。
一  契約単位で記載する方法
二  複数契約を集約して記載する方法
3  前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げるストック・オプションについては、複数契約を集約して記載してはならない。
一  付与対象者の区分、権利確定条件の内容、対象勤務期間及び権利行使期間が概ね類似しているとはいえないストック・オプション
二  株式の公開前に付与したストック・オプションと公開後に付与したストック・オプション
三  権利行使価格の設定方法が著しく異なるストック・オプション
4  当事業年度に付与されたストック・オプション及び当事業年度の条件変更により公正な評価単価が変更されたストック・オプションについては、公正な評価単価の見積方法として使用した算定技法並びに使用した主な基礎数値及びその見積方法を記載しなければならない。ただし、使用した算定技法及び使用した主な基礎数値の見積方法の内容が同一のものについては集約して記載することができる。
5  ストック・オプションの権利確定数の見積方法として、勤務条件や業績条件の不達成による失効数の見積方法を記載しなければならない。
6  未公開企業がストック・オプションを付与している場合には、公正な評価単価の見積方法として、その価値を算定する基礎となる自社の株式の評価方法について記載しなければならない。
7  ストック・オプションの単位当たりの本源的価値(ストック・オプションが権利行使されると仮定した場合の単位当たりの価値であり、当該時点におけるストック・オプションの原資産である自社の株式の評価額と行使価格との差額をいう。以下この項において同じ。)による算定を行つた場合には、事業年度末における本源的価値の合計額及び当該事業年度において権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額を注記しなければならない。
8  ストック・オプションの条件変更を行つた結果、ストック・オプションの内容として注記した事項に変更が生じた場合は、その変更内容について注記しなければならない。条件変更日におけるストック・オプションの公正な評価単価が付与日の公正な評価単価以下となつたため、公正な評価単価の見直しを行わなかつた場合には、その旨を注記しなければならない。
9  第一項から前項に定める事項は、当該会社が連結財務諸表を作成している場合には、記載することを要しない。

第八条の十六  第八条の十四の規定のほか、役務の受領又は財貨の取得の対価として自社株式オプションを付与又は自社の株式を交付している場合には、前条第一項各号に掲げる事項のうち該当する事項について、前条に準じて記載しなければならない。この場合において、提供を受けた役務又は取得した財貨の内容及び役務の対価又は財貨の取得価額の算定を当該役務又は財貨の公正な評価額によつたときには、その旨を注記しなければならない。
2  自社株式オプションの付与又は自社の株式の交付に対価性がない場合には、その旨及び対価性がないと判断した根拠を記載しなければならない。
3  前二項に定める事項は、当該会社が連結財務諸表を作成している場合には、記載することを要しない。


なお、上記は財務諸表等規則に定められているため、あくまで年度の財務諸表にのみ適用され、中間財務諸表には適用されません。(中間財務諸表に対しては、別途に定めが存在します。)

これらはストック・オプション会計基準において同様な内容が定められていますが、法令上の強制力を担保するために、内閣府令として別途定められています。