2006年07月04日

上場制度見直しと新株予約権

東京証券取引所は、6月26日に、「上場制度整備プログラム」を公表しました。これは、ライブドア事件等の企業不祥事を受け、本年3月に公表された「ディスカッション・ペーパー」に寄せられた意見も参考に、今後の上場制度の整備に向けた基本的な実行指針となるものです。
 この中には、株価下落を招くおそれがあるMSCBや新株予約権に関しての施策も取り上げられています。

具体的には、

『株式、新株予約権又は新株予約権付社債の発行における通常の開示内容に加え、発行価額が時価よりも低い価額で設定されている場合やMSCBの発行の場合における開示内容の充実(例えば「当該発行の適法性についての法律専門家の意見」、「割当先の選定理由」、「割当先の保有方針」等の開示(割当先がファンドである場合の開示の充実を含む))を行う。』

といった取り扱いをあげており、直ちに実施する事項として位置づけています。

特にMSCBについては、「当該発行の適法性についての法律専門家の意見」を開示することが必要となってきています。しかしながら、オプション評価が専門外である法律専門家は、オプション評価そのものについては、他の専門家の評価結果に依拠して(すなわち、オプション評価の結果については言及しない)、意見を出すの通常でしょう。
法律専門家は、オプション評価の専門家が出した評価結果が信頼できると判断したうえで、意見を出すべきですが、実際は、評価結果の適否を判断せず、法律上の手続の適法性についてのみ責任をもつことが一般的でしょう。

「上場制度整備プログラム」の趣旨からみれば、法律専門家とオプション評価専門家とが連携し、責任を
もった意見書を出すのが筋ではないかと思います。