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2006年05月28日

●S/Oの公正な評価額の算定方法1

ストック・オプションの公正な評価額は、付与日現在で算定します。

この算定は、公正な評価単価×(付与数−見積失効数)の算式で行われます。
 この算式は、単価×数というシンプルな形ですが、単価の算定そのものが、難題です。公正な評価単価は、金融工学の理論を用いなければなりませんが、金融工学は、金融業界の一部の専門家が扱う分野であり、経理・税務・法務の専門家にとっては、専門分野が異なる世界であるのです。
 「ストック・オプション会計基準」では、ブラック・ショールズ式、2項モデル等の算定技法を用いることになるようなことは書かれていますが、このような算定技法を駆使できるのは、金融業界の中でもデリバティブの設計を行う専門家に限定されます。
 仮に、このような専門家に公正な評価単価の算定を依頼できたとしても、金融工学の専門家は、「ストック・オプション会計基準」の規定を理解して算定してもらうことは過大な期待と考えるべきです。「ストック・オプション会計基準」の規定に準拠した算定を求めるには、依頼者自身が、金融工学の専門家に、「ストック・オプション会計基準」の満たすべき要件を適切に説明しなければなりません。
 ちなみに、公正な評価単価を算定するにあたって、算定技法が満たすべき要件として、「ストック・オプション会計基準」は、次の6つの基礎数値が適切に反映されていることをあげています。

(1) オプションの行使価格
(2) オプションの満期までの期間
(3) 算定時点における株価(算定時点は付与日又は条件変更日)
(4) 株価変動性
(5) (2)の期間における配当額
(6) 無リスクの利子率(割引率)

この6点が、「ストック・オプション会計基準」の要件を満たすことによって、初めて、金融工学の専門家が、公正な評価単価を算定することができるのです。