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2006年09月08日

●取引相手等に対して付与した自社株オプションの会計処理

 会社法施行後は、従業員等に対して付与したストックオプションのみならず、財貨又はサービスの取得の対価として取引先等に対して自社株式オプションを付与する取引についても費用計上されることになりました。

 ストックオプションに関する会計基準は、企業が従業員等からサービスを取得する対価としてストックオプションを用いる取引以外の場合、すなわち、取引の相手方や取得する財貨またはサービスの内容にかかわらず、原則として、取得の対価として自社株式オプションを用いる取引一般に適用されます。
 これはいわゆる「株式報酬」に相当する取引について、現在の我が国で広く行われている取引に対し、包括的に会計処理を定める狙いがあると思われます。
 このような取り扱いをすることによって、上場準備企業がコンサルティング会社等へ報酬として株式オプションを付与する場合にも費用計上が必要なことになります。ただし、次の点に留意する必要があります(ストックオプション会計基準14項)。

� 取得した財貨又はサービスが、他の会計基準に基づき資産とされる場合には、当該他の会計基準に基づき会計処理を行う。

� 取得した財貨又はサービスの取得価額は、対価として用いられた自社株式オプションの公正な評価額若しくは取得した財貨又はサービスの公正な評価額のうち、いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定する。

� 自社株式オプションの付与日における公正な評価単価の算定につき、市場価格が観察できる場合には、当該市場価格による。

また、上記�の「いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定する」ことの判断は、次のように行うことをしています(適用指針23項)。

(a) 公開企業において、財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプションを用いる取引に関しては、通常、自社の株式の市場価格を基礎として、自社株式オプションの公正な評価額を信頼性をもって測定することが可能であり、自社株式オプションの公正な評価額に基づいて算定を行う。  ただし、特に取得する財貨等が市場価格とより直接的に結びついているような場合には、財貨等の市場価格で測定することで、より信頼性の高い測定が可能となる場合があり得る。

(b) 未公開企業において、財貨又はサービスの取得の対価として自社株式オプションを用いた場合、これと対価関係にある財貨又はサービスの市場価格を参照できる場合には、その市場価格で算定を行う。財貨又はサービスの市場価格を直接参照できない場合にも、その市場価格を合理的に見積もることにより、自社株式オプションより信頼性の高い測定が可能となる場合が多く、そのような場合には、その合理的に見積もられた市場価格で算定を行う。