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2006年07月28日

●株価のランダムウォークとは?

では、ランダム・ウォークに基づいた株価変動モデルについて、説明しましょう。現時点の株価が100円であるB株が、明日は1%上昇するか、同じく1%下落するかの二通りの経路しか持たないという簡略化したモデルを設定します。

このモデルに沿ってシミュレーション (試行)し、1年後の株価を推測してみましょう。一度の試行では判りませんが、何回も試行を重ねると、最終株価(1年後の株価)とそれが発生する確率には規則性があることに気がつきます。試行結果をみると、最終株価はスタート時点での株価レベル(正確にはややスタート時点より低いレベル)に一番多く集まり、上下に離れるにつれ、最終株価が集まる数は小さくなっていくのです。
このような分布(株価のばらつき)を正規分布と呼び、株価に限らず金融商品の多くがこのような変動をすると考えられています。ここでは資産の価格を、連続的ではなく、毎日1回、毎月1回など定期的に変動するモデルとして設定しています。このようなモデルを離散型時間モデル(discrete time model)とよばれ、後述のオプション評価モデルの中の二項モデルやモンテカルロ・シミュレーションに適用されます。これに対し、変動する期間の設定を極小化したものを連続時間型モデル(continuous time model)であり、同じく後述のブラック・ショールズモデルに適用されます。