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2006年07月28日

●新株予約権の権利行使時の所得課税区分

新株予約権をストックオプションとして発行した場合の権利行使時の所得課税区分について。

下記にて説明します。

新株予約権を金銭払込みなしでストックオプションとして発行した場合のその権利行使時の個人取得者側の所得課税区分については、平成14年税制改正に基づいて、平成14年6月24日付「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)により、新株予約権にかかる所得税の取扱に関して、所要の改正を行い、この時の通達改正の最大のポイントは、新株予約権の行使に係る経済的利益の課税所得の区分を整理した点にありました。これは、旧商法改正による新株予約権制度の創設を受けて、税務上も所得税法施行令84条に3号を追加し、これに伴う改正を行ったものであります。

1.会社の取締役又は使用人による新株予約権の行使と所得税
具体的には、「所得税基本通達23〜35共−6(2)」により、譲渡禁止のストックオプションは、従来の新株引受権付与方式又は自己株式譲渡方式のストックオプションと同様に、権利行使時に課税されることとなりましたが、その所得区分を次のように明らかにしています。
すなわち、発行法人と当該権利を与えられた者との関係等に応じ、それぞれ以下の(イ)、(ロ)、(ハ)に分けて所得区分を規定しています。

(イ)では、発行法人と権利を付与された者との間の「雇用関係又はこれに類する関係に基因して当該権利が与えられたと認められるとき」は以下の取扱いとしています。
取締役又は使用人が権利行使した場合の経済的利益は「給与所得」になります。ただし、退職後に権利行使が行われた場合で、例えば権利行使後短期間のうちに退職を予定している者に付与され、かつ、退職後長期間にわたって生じた株式の値上がり益に相当するものが主として供与されているなど、主として職務の遂行に関連を有しない利益が供与されていると認められるときは、「雑所得」とすることを明らかにしています。

(ロ)では、権利を与えられた者の営む業務に関連して当該権利を与えられたと認められるときの権利行使による経済的利益は、「事業所得又は雑所得」としました。これは、新株予約権は社外の者、例えば顧問弁護士、顧問税理士、経営コンサルタント等に対しても付与可能となったことから設けられたものであります。

(ハ)では、上記以外の者が旧所得税法施行令84条3号(会社法施行後は、同4号)の権利行使をした場合は、原則「雑所得」とする旨を規定しました。
なお、(注)書きで、上記(イ)、(ロ)、(ハ)において、発行法人が外国法人の場合の所得区分も同様の取扱いとなる旨規定しています。

2.会社の取締役又は使用人による新株予約権の行使と所得税
上記のとおり、所得税基本通達23〜35共−6により、譲渡禁止のストックオプションを会社の取締役又は使用人が権利行使した場合の所得区分は、給与所得になります。これ以外の個人が権利行使した場合の所得区分は、同通達により、事業所得、雑所得に該当することになります。

3.子会社の各関係者に発行した新株予約権の行使と所得税ある会社がその発行する新株予約権を、別法人である一定の資本関係にある子会社の取締役又は使用人、その他関係者等に発行した場合の課税関係は、前述の所得税基本通達23〜35共−6では一見明確には読み取れません。しかし、同条に「(注)例えば、措置法29条の2,傍定する「取締役等」の関係については、雇用関係又はこれに類する関係に該当することに留意する。」とあり、措置法29の2が、発行法人が直接・間接に株式の50%超を保有する関連会社の取締役等を特例の対象者としていることから、この規定は子会社の取締役等についても例示的に明記したものと考えられます。このように、子会社の取締役等にストックオプションを発行する場合のその権利行使時の所得区分は、発行会社が自社の関係者に対して発行した場合と同様に解釈してよいかと思われます。

以下、各関係について検討いたします。

〇匆饉劼亮萃役又は使用人に対して、親会社の新株予約権を付与した場合
100%子会社の取締役又は使用人が親会社の新株予約権を行使した場合の課税区分は、給与所得に該当します。それでは、子会社への出資割合が51%程度の場合はどうでしょうか、これもやはり、発行会社が直接・間接に50%を超えて株式を保有している他社の取締役等との間については、雇用関係に類する関係に該当するものと考えられることから、給与所得に該当すると考えられます。

◆〇匆饉劼慮槎篳杆郢遼瑤論罵士等に対して親会社が自社の新株予約権を付与する場合
同通達(2)ロに「権利を与えられた者の営む業務に関連して当該権利を与えられたと認められるときは、事業所得又は雑所得とする」とあります。ここでは、その顧問業務等の具体的態様に応じて、その法的性質を判断しますが、この場合に「事業所得」とは、自己の計算と危険において独立に営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいいます。これに該当するものならばそれは事業所得となります。

子会社の取引先会社の取締役等に対して親会社が自社の新株予約権を発行する場合
子会社の取引会社の取締役等に、将来的又は継続的な取引関係の維持を期待した交際費的意味合いから、親会社の新株予約権を発行することが考えられます。この場合取引会社の取締役等が権利行使して得た経済的利益の所得区分は、「雑所得」に該当するものと考えられます。なぜなら、取引会社の取締役等は、発行会社と雇用関係又はこれに類する関係に基因して当該権利が与えられたとは考えられないことから給与所得ではないこと、また子会社は取引会社との将来的又は継続的取引関係の維持を望むからこそ親会社のストックオプションを発行するのであるから、この権利行使による経済的利益が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務・・・・・の対価としての性質を有しないもの」という一時所得にも該当しないと思われるためであります。

4.各所得の算定方法
以上のように、譲渡禁止のストックオプションの権利行使による経済的利益に関する課税の所得区分は様々ですが、各所得の算定方法は以下のとおりです。

4-9-1.GIF

これら各所得は総合課税として損益通算され、最高税率は50%(所得税・住民税合算)となります。