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2006年06月28日

●日付操作問題で揺れる米国

米アイオワ大学、インディアナ大学による共同調査で、先般ある結果が発表されました。それは米企業の29.2%がストックオプションの日付を操作した疑いがあるとの結果です。

日付操作をすることで、株価の低い時期にストックオプションを付与し、取得者は安い権利行使価額で株式を購入することができます。結果的に、権利行使時の利益を水増しする行為に、米証券取引委員会(SEC)や司法当局が調査に乗り出しています。

一連の調査において、2006年6月、求人・求職仲介サイト「モンスター・ドット・コム」を運営するモンスター・ワールドワイド社は、米連邦地検から召喚状を受け取り、同社経営幹部に対し1997〜2001年に付与したストックオプションに当局による調査が入りました。
また同月、会計ソフト大手インテュイット社も、元最高財務責任者(CFO)への付与日を巡り、SECから非公式の質問状を受け取ったといいます。
一方、小売業大手ホーム・デポ社は、自主的な社内調査により、権利付与日よりも前の日付に基づいて行使価格を決めていたケースが、過去に五件あったことが判明しました。そしてこのうち三件では、行使価格が付与日の市場価格よりも低くなったといいます。

SECや検察当局が調査に入ったのは三十社超。内部調査での発覚やアナリストの指摘などを含めると、不正の疑いが持たれているのは四十社を超えるといいます。
そんな中、不正発覚がトップの辞任に発展するケースも出てきました。通信機器大手コンバース・テクノロジーズ社は2006年5月、CEOら経営幹部三人が辞任しています。またソフトウエア大手マカフィー社は、法務部長が解任されました。
(参考:日本経済新聞・日経金融新聞)

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グラフ:モンスター・ワールドワイドの株価の動き