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2006年06月26日

●取得者が法人の場合の税務

取得者が法人の場合の課税関係について解説します。

<設例>

/軍予約権の発行
株式の時価100
新株予約権を無償にて発行
権利行使価額100
新株予約権の公正評価額20

⊃軍予約権の権利行使
権利行使価額100を払込む
このときの株式時価150

取得株式の譲渡(売却)
このときの株式時価180で株式を売却


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/軍予約権の発行時
 ストックオプションを法人が取得した場合の税務は、資産を無償にて取得したものとして、法人税法22条(各事業年度の所得の金額の計算)により、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算された金額、すなわち時価で取得したものとして、時価相当額の受贈益課税が課せられます。
有価証券の取得価額については、法人税法施行令119条に規定があります。適正価額による有償取得の場合は、払込金額に付随費用を加算した金額が取得価額となり(同条1号、2号)、有利な発行価額による取得の場合には、時価により取得したものとみなされ、実際取得価額との差額に受贈益課税が課せられます(同条3号)。
 問題は、ストックオプションのかかる受贈益課税における、時価の算定にあります。この時価の算定は、本来的にはオプション・プライシング・モデルに従い、新株予約権の公正価値評価を、ブラック・ショールズ・モデル、二項モデル、モンテカルロ・シミュレーション等により算定されますが、その算定には計算の正確性や客観性を確保するのが困難な性格を有しております。すなわち、これらはストックオプションの価格形成を、「本源的価値」と「時間的価値」の2つから成り立ちますが、とりわけ後者は、見積株価変動率等の不確定な要素を含む算定を行う必要があるためです。
このような意味からも、課税当局側がかような公正価値を提示して課税するとは現状では考えにくいのではないかと思われます。現状の税務上の新株予約権の評価は、財産評価基本通達168(8)、193−2にて、上場株式又は気配相場のある株式にかかるもので、課税時期が権利行使可能期間内にあるものに限り、計算の簡便性から本源的価値(課税時期における株式の時価と権利行使価額との差額)をもって評価する、とまでしか想定しておらず、時間的価値による評価までは言及していないことからしても考えられます。
では、受贈益課税されるのはいかなる時価により課税されるのでしょうか。これに関しては、今後の当局の対応が注目されるところです。

権利行使時
ストックオプション発行時に時価課税されれば、それはストックオプションを新株予約権の適正時価による有償発行したものと同様に見ることができるため、権利行使時は課税はありません。したがって、個人課税のような権利行使時の株式時価と権利行使価額との差額(本源的価値)に対する課税はないと考えられます。

取得株式の売却時
法人が新株予約権の権利行使により株式を取得し、これを売却した場合に株価差益が生じていれば、その経済的利益に対して課税が生じるのは、個人の場合と同様です。設例によれば、180−(20+100)=60 に対して、株式譲渡益課税が生じ、これが有価証券売却益として課税所得になり、法人税等が課せられます。