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2006年06月23日

●税制適格ストックオプション

設例からみていきます。

<設例>

/軍予約権の発行
 株式の時価100
 新株予約権を無償にて発行
 権利行使価額100
 新株予約権の公正評価額20

⊃軍予約権の権利行使
 権利行使価額100を払込む
 このときの株式時価150

取得株式の譲渡(売却)
 このときの株式時価180で株式を売却

4-2-1.gif

〔発行会社の税務〕
新株予約権を無償発行した場合、その発行会社においては払込があるわけでもなく、従来は何ら会計処理はなく、税務も何ら課税の問題は生じませんでした。しかし、企業会計基準委員会(ASBJ)の企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」並びに企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(いずれも平成17年12月27日付)においては、ストック・オプションを発行した会社は、その発行時にストック・オプションの時価相当額を株式報酬費用として費用計上する旨公表しており、新会社法施行以降(平成18年5月予定)はこのような会計処理となります。
この費用は、法人税法上は損金とは認められず、とりわけ税制適格ストック・オプションにおいては、取得者側に権利行使時の課税(給与所得課税等)がないことから法人税法との整合を図る必要がないため、損金性はなく加算・社外流出となります。
 具体的には、先の税制非適格の事例とすると下期の処理になります。

.好肇奪・オプション発行時(付与時)

(会計)
 権利行使までの期間において下記処理を行う。
 株式報酬費用 20/新株予約権 20

(税務)
 株式報酬費用を加算します。すなわち税務上は損金とはならず、
 とりわけ税制適格の場合はその後損金とはならないため社外流出
 となります。
 別表4加算・社外流出、別表5(1)なし


権利行使時

(会計)
   新株予約権20・現金預金100/資本金 120

(税務)
 処理はありません。
 処理なし。

〔取得者の税務〕 

(取得者が個人の場合の税務)

/軍予約権の発行時
 譲渡禁止の税制適格でない新株予約権の場合と同様です。

権利行使時
 租税特別措置法29の2に規定する一定の条件のある
 ストック・オプションについては、権利行使時の
 経済的利益すなわち150−(0+100)=50について
 非課税となります。

取得株式の売却時
 新株予約権の権利行使により取得した株式を売却した場合に
 株価差益が生じていれば、その経済的利益に対して課税が
 生じます。設例によれば、180−(0+100)=80 に対して、
 株式譲渡益課税が生じます。税率は前述の通りです。
 なおここに、税制適格ストック・オプションとなるためには、
 所定の条件を満たす必要があり、それは以下の通りです。


(発行内容の要件)

/軍予約権の発行価額は無償であること。
⊃軍予約権の権利行使価額は、ストック・オプション
 付与契約時の株式時価以上であること。
E該新株予約権に譲渡禁止規定が付されていること。
た軍予約権の行使期間は、付与決議日後2年を経過した日
 から10年経過日までであること。
タ軍予約権の権利行使による新株発行または移転が、
 商法280条の21第1項の株主総会決議どおりに行なわれること。
Ω⇒行使により取得した株式が証券会社等に保管委託されること。


(取得者の身分要件)

付与対象者は、会社及びその子会社の取締役または使用人及び
 執行役(委員会設置会社の場合)である個人であること
 (平成18年度税制改正「執行役」が追加)。
┿匆饉劼箸蓮会社によって直接・間接に議決権のある発行済株式
 または出資の50%超を所有されている会社であること。
新株予約権付与決議時に大口株主に該当しないこと。ここに
 大口株主とは、
 イ)上場会社の場合は、発行済株式の10分の1超を保有する株主。
 ロ)非上場株式の場合は、発行済株式の3分の1超を保有する株主。
新株予約権付与決議時に大口株主の特別利害関係者に該当しない
 こと。大口株主の特別利害関係者とは、
 イ)大口株主の親族。
 ロ)大口株主の事実上の婚姻関係にある者及びその者の直系血族。
 ハ)ロ)の直系血族と事実上の婚姻関係にある者。
 ニ)大口株主からの金銭等で生計を維持している者及びその者
   の直系血族。
 ホ)大口株主の直系血族からの金銭等で生計を維持している者。
権利承継相続人であること。
 ここに権利承継相続人とは、新株予約権を付与された取締役または
 使用人たる個人が新株予約権の権利行使期間に死亡した場合、
 付与決議に基づき新株予約権を権利行使できる相続人をいいます。

(権利行使要件)

仝⇒行使において、新株予約権を付与された者が、付与時において
 大口株主及び大口株主の特別利害関係者でないことの宣誓書を
 発行会社に提出すること。
権利行使者の権利行使金額の年間合計額が、
 1,200万円を超えないこと。
新株予約権者は、権利行使日に属する年の他の新株予約権の
 有無を記載した財務省令に定める書面を発行会社に提出すること。

(取得者が法人の場合の税務)
税制適格ストック・オプションは、取得者が個人の場合のものであり、法人取得は想定していません。